筑北村長 太田守彦
筑北村は、信州自治2,3合併号の【市町村制NOW】にて掲載されたこともあり、首長随想は、DXの推進に関して所感を述べます。
歳入における自主財源比率が2割、歳出では経常的経費が6割を占め、財政力指数は0.16という財政力に乏しい自治体です。電算システムを維持するためのハード、ソフトの保守委託料は毎年高額であり、村長就任以降、ギガスクール構想及びコンビニ交付システムに対する保守経費も加わりました。
そうしたことから、私は、チャットGPTに「財政力とITリテラシーに乏しい地方自治体において自治体DXへどのように取り組むべきか、詳しく教えてください」と尋ねました。
即座に①現状の評価と課題の特定、②教育・トレーニングプログラムの実施、③パートナーシップの活用、④小規模なプロジェクトの開始という模範回答が返ってきました。しかし、GPTでは具体性に欠け、首長の指針とはなりません。
私は20年余りIT業界での経験を通じて、「DXを導入することが目的であってはならず、村民益に繋がるDXでなければ導入すべきでない」というのが基本的な考えです。DXの導入には、システムの構築費用と運用中のランニングコストが要求され、加えて、ITに精通した内部人材が必須ですので、弱小自治体にはハードルの高い課題であります。
一方、政府が進める自治体DXのメニューの中で、ガバメントクラウドによる基幹系業務の標準化は、電算費用の縮減と将来的に職員の減少、事務処理のアウトソーシングが見込まれることから、大きな期待をもって注視しています。
また、県下では産・学・官連携による実証試験として、遠隔医療、遠隔教育、物流ドローン、公共交通のAI化などが始まっています。これらは生活の利便性を高めることによって人口流出を抑える効果が見込めるものの、費用や人材面で本村における適性を見極める必要があると感じています。
むしろ、多数ある公共施設の維持管理、有害獣対策を含むスマート農業、移住促進のための住宅整備といった分野のDX化は、職員や村民に受け入れられ易いこともあり、デジタル田園都市構想推進交付金等を活用して、早期に取り組みたい。
新米村長ですが、常に「アンテナを高く、フットワークは軽く」を念頭に、持続可能な村づくりに向けてチャレンジしてまいります。